胸壁・横隔膜の手術-その2 横隔膜弛緩症
横隔膜縫縮術における治療的縫縮と予防的縫縮
前田 寿美子
1
,
佐渡 哲
,
櫻田 晃
,
岡田 克典
,
近藤 丘
1東北大学病院 呼吸器外科
キーワード:
横隔膜
,
胸腺腫瘍
,
胸腺摘出術
,
胸部X線診断
,
呼吸不全
,
術後合併症
,
腫瘍再発
,
縫合法
,
線維腫症-進行性
,
胸壁
Keyword:
Diaphragm
,
Neoplasm Recurrence, Local
,
Postoperative Complications
,
Respiratory Insufficiency
,
Suture Techniques
,
Radiography, Thoracic
,
Thymectomy
,
Thymus Neoplasms
,
Fibromatosis, Aggressive
,
Thoracic Wall
pp.971-975
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015008975
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症例1は65歳女性で、34年前に右乳癌に対し定型的乳房切除術・傍胸骨領域、鎖骨窩、腋窩の術後照射を行った。胸部X線像上、右横隔膜の挙上が認められていた。直径15cm大の前胸壁デスモイド腫瘍に対し、胸壁腫瘍切除術、胸骨亜全摘を伴う胸壁全層切除、ポリプロピレンメッシュおよび遊離腹直筋皮弁による再建術を受けたが、呼吸不全に陥り、3ヵ月間の人工呼吸管理を要した。人工呼吸からいったん離脱したが2ヵ月後には起坐呼吸となり、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)を導入した。NPPVからの離脱のため横隔膜縫縮術を行い、NPPVから離脱した。リハビリにより日常生活動作が拡大し在宅酸素療法を導入し自宅へ退院した。症例2は41歳女性で、6年前に胸腺腫合併の全身型重症筋無力症(MG)に対し、胸腔鏡下拡大胸腺摘除術を受けた。術後5年目の胸部X線で左第2弓突出を認め胸部CTで左胸腔心膜上に腫瘤を確認した。胸腺腫局所再発と判断し心膜および左横隔神経を合併切除し、横隔膜縫縮術を行った。術後2年の胸部X線において左横隔膜は右と同レベルを保ち、呼吸機能も維持されていた。
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