発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367322
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60歳女。労作時呼吸苦を主訴とした。造影CTで主肺動脈から連続する腫瘤を認め、左肺動脈は上葉分岐部まで、右肺動脈は中下葉分岐部まで閉塞していた。亜急性もしくは慢性肺血栓塞栓症を疑い、準緊急で開胸手術を行った。主肺動脈を切開し内腔を確認したところ、肺動脈弁から約20mm末梢側に表面整で薄い透明な被膜に覆われた白色から黒色まだらな塞栓物を認めた。切開を左肺動脈まで延長し、塞栓物を完全に摘出した。引き続き、主肺動脈切開線を右主肺動脈に延長して塞栓物を摘出したが、上葉枝および中下葉枝の末梢では強固に内膜に癒着しており完全摘出は困難であった。病理診断は原発不明の低分化型肉腫で、精査で他に原発巣がないことが確認され、肺動脈原発肉腫の診断で呼吸器科へ転科となった。右肺全摘術の適応を考慮されたが、主肺動脈近くへの急激な再進展を認め、手術不可能との判断で放射線化学療法へ移行となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014