発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010320093
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80歳男性。アスベスト関連肺疾患を指摘されていた。労作時呼吸苦が出現し、他院で肺塞栓症の診断で加療されたが、肺動脈内陰影の増大を認め当院紹介となった。胸部CTで右肺動脈から左肺動脈本幹内に腫瘍形成が疑われ、尾側で血管外に露出している部分があり、露出部分は左房壁に接し軽度圧迫していた。右肺門側は肺動脈分岐部直前まで腫瘍進展を認めた。PETでは肺動脈に高集積を認めた。手術の方針とし、人工心肺を確立後に心拍動下に肺動脈腫瘍を摘出した。右肺動脈を腫瘍と一塊に切除したが、背側の脂肪組織の病理検査で腫瘍細胞の散在を認め、可及的切除にとどめた。右肺動脈は自己心膜ロールで再建した。切除した右肺動脈の内腔は腫瘍で占められ、病理組組織像で腫瘍細胞は異型が強く、核分裂像を多数認め、肺動脈内膜肉腫と診断された。術後は合併症なく経過し、術後13日に退院となった。なお、術後CTで自己心膜ロールで再建した右肺動脈は良好に開存していた。術後1ヵ月より化学療法と放射線療法を施行し、術後5年の現在、外来通院中である。
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