発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087088
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
症例は85歳男性で、75歳時に直腸癌、83歳時に前立腺肥大症の既往があった。他院にて前額部に血管肉腫を指摘され、経過観察となっていた。呼吸困難で近医にて左気胸の診断で紹介受診した。前額部に5×3cm大の皮膚潰瘍を認め、CTで両肺に多発する肺嚢胞を認めた。血管肉腫による続発性気胸と診断し、胸腔ドレーンを挿入して胸膜癒着術を行った。第5病日に胸腔ドレーンを抜去し退院したが、数日後に左気胸で再入院し、右気胸も発症したため両側の胸腔ドレナージを行った。積極的な治療を希望しなかったが、その後に生じた血痰や肺炎に対症療法を行い、初回入院から49日目に死亡した。剖検で左肺は胸壁、心嚢、横隔膜との腫瘍性癒着で一塊となっており、特に下葉は脆弱で割面は容易に崩れ、肺内に1~3cm大の凝血塊を多数認めた。前額部と両肺に血管肉腫の腫瘍細胞を認め、死因は血管肉腫の肺転移による呼吸不全と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015