発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204285
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64歳男。57歳時に肺癌で右肺全摘術を受けていた。49歳時に拡張型心筋症、60歳時にうっ血性心不全を発症し、この頃から左室機能が著明に低下し(左室駆出率19%)、心不全で入退院を繰り返していた。60歳以降は大動脈二尖弁による大動脈弁狭窄症が進行し、左心機能の低下から機能性僧帽弁閉鎖不全症(3度)を合併した。64歳以降は強心薬依存となり、呼吸困難が強くNYHA分類IV度の状態となった。手術施行となり、周術期低心拍出量症候群(LOS)を予防するため術前に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を挿入した。良好な視野を得るため右第4肋間開胸に加え第5肋骨の部分切除を行い、体外循環下に大動脈弁置換術および僧帽弁置換術を施行した。術後6日にIABPを抜去したが、心房細動を発症したため術後9日に再挿入となり、その後はLOSから緩やかに脱して術後34日にIABP抜去に至った。術後63日に人工呼吸から離脱し、長期臥床のためリハビリに時間を要したが、術後177日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014