発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195263
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症例は42歳女性で、突然の背部・前胸部痛を自覚し、近医で心室頻拍を指摘され、除細動で洞調律に復帰した。心臓カテーテル検査では冠状動脈に狭窄を認めず、心尖部に壁運動低下がみられた。たこつぼ型心筋症を疑われ、心エコーで左室心尖部瘤および瘤内血栓を認めた。抗凝固療法で瘤内血栓は消失し、経過良好であったが、発症2年半後に意識消失を来たした。頭部CTで左脳梗塞、心エコーで左室心尖部に血栓を認め、血栓溶解療法と抗凝固療法を開始したが、1ヵ月経過後もBroca失語と右片麻痺が残った。心エコーでは左室乳頭筋レベルから心尖部にかけて15×25mmの血栓を伴う最大径43mmの左室瘤を認め、手術適応と判断し左室形成術を施行した。左室心尖部前壁が瘤化しており、同部に有茎性の赤白色血栓を認めた。中隔は心尖部寄りに幅3mm程度の線維化がみられた。病理学的に瘤の原因は特定できず、術後経過良好で25日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014