手術の工夫
3回の段階的手術により救命できた大動脈食道瘻
川原 優
1
,
野村 尚
,
正木 直樹
,
小林 夕里子
,
佐藤 弘隆
,
新井 悟
,
深沢 学
1山形県立中央病院
キーワード:
食道形成術
,
食道切除
,
食道瘻
,
大動脈置換術
,
胸部CT
,
大動脈消化管瘻
Keyword:
Esophageal Fistula
,
Esophagoplasty
,
Esophagectomy
pp.383-386
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195255
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症例は66歳男性で、突然の吐血を来たし、上部消化管内視鏡で下部食道の裂創からの出血を指摘され、クリップで止血したが4日後に再吐血した。CTで下行大動脈と下部食道に隣接して造影効果のある瘤状構造を認め、大動脈食道瘻による出血性ショックと診断し、緊急開胸術を施行した。下行大動脈周囲は横隔膜上7~8cmの範囲で強い炎症性の浮腫があり、仮性瘤および瘻孔を確認した。同部を切断して人工血管置換術を施行し、汚染野と人工血管を隔絶するため切除した大動脈壁をロール状に巻いて瘻孔の入口部を覆い、密に縫合した。術翌日の上部消化管内視鏡で下部食道に隆起性の肉芽を認め、穿孔した潰瘍が瘻孔となり、縦隔と交通していると考え、食道亜全摘、頸部食道外瘻、胃瘻、腸瘻造設術を行った。いったん退院後に食道再建術として胸骨後経路、頸部食道胃管吻合を追加した。術後2年4ヵ月経過し、感染などの徴候はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014