発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013186594
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64歳女性。既往歴として28歳時に出産時の出血多量による子宮全摘、49歳時に両下肢静脈瘤に対する手術があった。今回、前胸部痛を主訴に受診、胸部X線およびCTにて血胸と診断され、緊急手術が行われた。手術所見では血胸の原因は右内胸動脈からの出血が腹腔内に流入したためと考えられた。また一方、皮膚、皮下組織、胸膜などのあらゆる組織が脆弱であり、既往歴から結合組織異常を示す基礎疾患の存在が疑われた。以後、皮膚生検より得られた培養線維芽細胞をもとにIII型/I型コラーゲン比の低下および遺伝子解析にてCOL3A1のc.2411にGGC(Gly)→GTC(Val)となるヘテロ接合にミスセンス変異が認められた。以上より、本症例は血管型Ehlers-Danlos症候群と診断されたが、退院2ヵ月後に消化管穿孔を発症し、緊急手術を行なったところ、明らかな穿孔部位は確認されなかった。現在、腹部手術後8ヵ月経過で新たな合併症はみられていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013