発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013124373
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48歳男性。発熱を主訴に近医を受診、血液培養からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出され、造影CTにて人工血管周囲膿瘍、左感染性腸骨動脈瘤と診断された。抗生物質の投与では改善せず、ホモグラフトを用いた手術が必要と判断し東北大学へ転院となり、3日後に感染性腸骨動脈瘤に対する切除と大腿大腿動脈バイパス術を行ない、4日後に上行大動脈人工血管感染に対しホモグラフトを用いた人工血管再置換術が予定されていた。しかし、東日本大震災の被害にあい手術ができない事態に陥り、震災4日後に著者らの施設へヘリコプター搬送となった。搬送後、感受性結果をふまえ、抗生物質をarbekacinとST合剤に変更し、2日目に開胸し、VAC療法施行下で人工呼吸器管理下に手術室へ入室し、ホモグラフトを用いた人工血管再置換術が行われた。その結果、術後6日経過で炎症値の低下ほか、発熱の改善が得られ、閉胸および大網充填術が行われた。だが、手術から13日目に突然の血圧低下があり、PCPSを装着したが心停止に陥り、緊急開胸したところ胸腹部移行部に残存した感染動脈瘤があり、この破綻が原因と推定された。
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