発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004082
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症例は79歳男性で、検診で胸部異常影を指摘された。胸部CTで左肺S3に胸膜から2cmの深さに1.5cm大のスリガラス様陰影を認め、肺癌疑いで手術を予定した。病変部位同定のためCTガイド下で胸膜より約3cmの深さにマーキングを行ったが、針位置確認のCT撮影直後より呼吸状態が悪化し、意識レベルが低下して心電図上で徐脈と完全房室ブロックが出現した。左上肺静脈~左房に空気の流入を認め、循環動態安定後のCTでは右前頭葉から頭頂葉の血管内に空気が存在し、気胸と肺内出血も認めた。冠状動脈空気塞栓症と診断し、心電図変化、意識は改善したが左上下肢麻痺を認め、高圧酸素療法の適応と考え転院した。5日間の高圧酸素療法で麻痺はほぼ消失し、発症40日後に胸腔鏡下左肺上区域切除術を施行した。組織学的には肺胞上皮置換性に増殖する肺腺癌であり、一部に間質の肥厚と線維芽細胞の増生を認め、野口分類C型と診断された。術後経過良好で再発なく外来通院中である。
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