発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013004068
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僧帽弁後尖逸脱49例(男33例、女16例、平均61.7歳)に対する弁形成術として、後尖弁輪を縫縮せず、弁高の低いものには三角切除法(TRR)を、高いものには砂時計型切除法(HGR)を行った。HGRは、四角切除の縦の直線部分を内方にカーブさせ、上の逆三角形部分は切除縁同士を、下の三角形は弁尖の切除縁を弁輪と縫合した。HGRは26例29病変に、TRRは27例29病変に行い、病変の病理所見はBarlow病14例、fibro-elastic deficienty(FED)35例で、Barlow病ではHGR、FEDではTRRの適応が多かった。全例本法で弁形成でき、入院死亡はなく、収縮期前方移動や溶血は合併しなかった。右小開胸でHGRを行った1例で1ヵ月後に逆流が再発し、原因は縫合部離開と逸脱遺残で、砂時計型の切除範囲を拡大して正中切開で再手術を行った。術後観察期間0.1~4.9年で、遠隔死亡はなく、エコー評価では僧帽弁閉鎖不全症なし36例、軽度12例、中等度1例であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012