発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211501
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1988年12月~2001年2月の間に冠血行再建を同時に施行した弁膜症手術42例(男13例,女29例,51~82歳,平均69±8歳)を対象とした.術後合併症は遅延性心タンポナーデ3例,心筋梗塞1例,再開胸止血術1例であったが,術後大動脈内バルーンパンピングを使用した症例はなく,また手術死亡,入院死亡もなく全例生存退院した.平均経過観察期間は5.6年で,その間遠隔死亡は8例であった.突然死あるいは心不全死は4例,脳梗塞,脳出血が1例ずつであった.生存率は5年,10年それぞれ82.7±6.6,78.1±7.6%で,多変量解析による遠隔死亡の危険因子は,EF40%以下の低左心機能例であった.心事故は9例に発生し,脳梗塞が4例に発生した.心事故回避率は5年,10年それぞれ78.3±7.0,59.3±11.3%で,多変量解析による心事故発生の危険因子は低左心機能例と僧帽弁例であった.冠血行再建を伴う大動脈弁同時手術の手術成績,遠隔成績は良好で,積極的に同時手術を施行すべきであるが,左室機能低下を伴う僧帽弁疾患との同時手術ではその遠隔成績は不良で,厳重な経過観察が必要であると考えられた
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