発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184035
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症例は74歳女性で、労作時呼吸困難と動悸を主訴とした。心エコーで左室の非対称性心室中隔肥大と僧帽弁閉鎖不全(MR III度)を認め、僧帽弁輪後尖側に高度石灰化がみられた。また、三尖弁閉鎖不全I度が認められた。閉塞性肥大型心筋症と僧帽弁逆流による心不全と診断し、僧帽弁置換術を施行した。手術は胸骨正中切開、体外循環、心停止下に行った。器質的変化を認めた僧帽弁前後尖を完全に切除し、前後乳頭筋にCV-4(日本ゴア社)で人工腱索をたて、2、4、8、10時方向の弁輪に固定した。僧帽弁後尖弁輪部の石灰化は高度であり、一部切除と弁輪形成を必要とした。St.Jude Medical弁27mm(St.Jude Medical社)で人工弁置換した。三尖弁輪は人工弁輪で縫縮した。左心耳は内腔側より縫縮し、冷凍凝固により両心房maze手術を行った。術後はbepridil hydrochlorideの内服投与で心拍数をコントロールした。術後18日に軽快退院となり、術後1年の現在、心機能は安定している。
©Nankodo Co., Ltd., 2011