発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338812
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36歳男性。生後1ヵ月時に両大血管右室起始をはじめ肺動脈閉鎖、心室中隔欠損と診断され、他院にて5歳時に左classical B-Tシャント術、16歳時に右modified BT(mB-T)シャント術が施行された。その後、34歳頃より呼吸困難が出現し、35歳時には心カテーテル検査で右mB-Tシャントの閉塞が確認された。経過観察としていたが、翌年に肺炎を発症、抗生剤治療では改善せず、著者らの施設にある循環器内科へ転院となった。CTでは左肺炎と膿胸、左肺動脈下葉に血栓がみられ、抗生剤による治療継続で肺炎の鎮静化が得られたものの、呼吸困難感が持続し、本人の強い希望からも閉塞した右mB-Tシャントを再手術することとなった。手術前CTでは膿胸は縮小し、周囲の肺炎像も改善がみられたが、心エコーでは大動脈は前方で右室から起始、主肺動脈は認めず、大きい心室中隔欠損と僧帽弁逆流I度が認められた。術中所見では胸骨裏面、右肺動脈周囲には側副血行が多数存在しており、止血に難渋したが、肺動脈・上行大動脈・腕頭動脈にテーピングを行い、腕頭動脈に部分遮断鉗子を掛け人工血管を吻合、次に右肺動脈にも部分遮断鉗子を掛け吻合した。遮断解除後の人工血管血流は1.1L/分であり、手術時間は4時間41分、出血量は1345mlであった。目下、手術から第17病日目に患者は軽快退院となり、社会復帰して外来にて経過観察中である。
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