発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106145
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
49歳女。交通事故によりプレショック状態で救急搬送され、胸部X線にて多発骨折と上縦隔の拡大を認めた。胸部造影CT、3D-CT、血管造影にて腕頭動脈末梢寄りの左背側部に径約20mmの瘤を認めたが、血管外漏出は認めず、外傷による腕頭動脈瘤と診断して手術を行った。本例は腕頭動脈瘤の中枢側に十分な距離があり、大動脈弓部から右総頸動脈までの視野が良好で血管の性状も良いことから、より確実な脳血流循環維持を目的に大動脈弓部と右総頸動脈遠位側の間に外シャントを置き、また、動脈瘤が背側に位置していたため、パッチ閉鎖や直接閉鎖ではなく、人工血管置換術を選択した。病理組織学的な診断は外傷性仮性動脈瘤であり、術後経過は良好で神経学的合併症・後遺症はなく、頭部CTでも脳梗塞所見を認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011