発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034189
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64歳男。湿性咳嗽のため受診し、胸部CTで右下肺野に長径18mmの結節陰影を認めた。経過観察を行ったがほとんど変化はなく、患者の自己判断で受診が中断していた。3年後、健診でのX線で同部に結節陰影を認め、CTで右下葉S8に30mm大の腫瘤を認め、分葉状で胸膜嵌入像があり、肺癌が疑われた。血液生化学、各種腫瘍マーカーは正常で、気管支鏡で異常所見は認めず、右S8で経気管支肺生検を行ったが、細胞診・組織診とも悪性所見はなかった。腹部エコー、脳CTでも転移はなく、原発性肺癌cT1N0M0の診断で手術を行った。右下葉部分切除を行い、術中迅速病理で悪性所見は認めなかったが、病巣割面より膿汁流出があり、肺膿瘍合併と判断した。切除標本で6×17×11mmの淡黄白色調、充実性の腫瘍病変を認め、組織学的には反応性に気管支粘膜関連リンパ組織が増生し、細気管支腔が周囲から圧排され、濾胞性気管支炎と診断された。免疫染色でもリンパ腫や肺癌を示唆する所見はなく、経過良好で術後9日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010