臨床室
フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影により早期診断し治療したことで手指機能を再建しえた乳癌腕神経叢神経内転移の1例
原 由紀則
1
,
星川 慎弥
,
飯島 準一
,
北 優介
,
田尻 康人
1東京都立広尾病院 末梢神経外科
キーワード:
手指
,
乳房腫瘍
,
末梢神経系腫瘍
,
麻痺
,
腕神経叢
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
陽電子放射型断層撮影
,
腫瘍の早期診断
,
腱移行術
Keyword:
Breast Neoplasms
,
Brachial Plexus
,
Fingers
,
Paralysis
,
Peripheral Nervous System Neoplasms
,
Tendon Transfer
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
Positron-Emission Tomography
,
Early Detection of Cancer
pp.1252-1255
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017060209
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72歳女。11年前に左乳癌に対し乳房摘出・リンパ節廓清・化学療法を受けていた。今回、誘因なく左上肢麻痺が出現し、左上肢は上腕から手指まで全体的に浮腫状で、肘・手・手指関節に可動域制限を認めた。各種画像検査で特記すべき所見は認めず、左肩関節MRIでは腕神経叢に沿った高信号変化を認めたが、腫瘍像は確認できなかった。腕神経叢での神経内癌転移を疑いFDG-PET撮影を行ったところ、左腕神経叢に沿った線状の集積を認めたことから、腕神経叢への乳癌転移による神経障害が上肢麻痺の原因であると診断した。他に肺転移も認めたことから、まずは化学療法・放射線療法を行い癌進行を抑え、治療効果を認め手術適応となった後、二期的に手指屈曲機能再建術、母指外転機能再建術を施行した。術後は容器把持動作やつまみ動作が可能となり、機能的にも整容的にも満足が得られた。
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