発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250141
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症例は、19歳時に先天性右肺動脈欠損症に対して右肺全摘術の既往がある32歳女性で、肺全摘後症候群が出現して左主気管支は極度の縦隔偏位により大きく屈曲してほぼ閉塞され、緊急で気道ステントを留置した。しかし、その後に肉芽増殖による再狭窄と狭窄に起因する閉塞性肺炎を繰り返し気道ステントの追加留置(7回)、気管支鏡下レーザー焼灼、低用量放射線照射(総線量12Gy)、胸腔内SF6ガス注入、気管支鏡下バルーン拡張術などを施行した。しかし次第にピンホール状狭窄となり、閉塞性肺炎を発症し加療目的で入院となった。気管支鏡所見で肉芽増生によるピンホール状狭窄を認め、狭窄部位より末梢側への気管支鏡の通過は困難で、気管支の極度の屈曲と狭窄により通常の気道ステントの留置は不可能であった。そこで経気管支鏡下に腸骨動脈用ステント(Wallstent、直径6mm×長さ24mm)を留置する方針とし、Wallstentは気管支ファイバーのチャネルに挿入可能で良好な拡張が得られた。ステント留置後、閉塞性肺炎は軽快し退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010