発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250140
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症例は85歳男性で、約5年前に左内胸動脈-左前下行枝・大伏在静脈(SVG)グラフト-右冠動脈のバイパス術施行後、近医にて経過観察していたが今回、労作時息切れが出現し大動脈弁狭窄症を指摘され、その後症状が進行して緊急入院となった。入院後、患者が高齢であり手術を希望せず、強心薬や利尿薬などで心不全の改善を図ったが、乏尿となり腎不全が進行したため一時透析を開始した。その後、心不全症状は改善したが労作時の息切れが持続したため手術の必要性を説明、再手術の方針となった。術中所見では、人工心肺確立後にSVGグラフトを上行大動脈との癒着部で剥離、大動脈弁は三弁とも高度に石灰化、可動性は認めなかった。弁尖を切除し石灰化部を完全に切除後に生体弁で置換術を施行、大動脈弁遮断解除後に体外式除細動器で自己脈が容易に出現し人工心肺からの離脱も特に問題なかった。術翌日に持続的血液濾過透析を行い、術後2日目に人工呼吸器から離脱、心筋梗塞は認めず心機能も良好に保たれ、維持透析を導入することなく独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010