胸部・気道損傷の治療
気管・気管支・肺の損傷 緊急および準緊急外傷性胸部・気道損傷
野田 雅史
1
,
松村 輔二
,
星 史彦
,
宮本 彰
,
石田 格
,
佐渡 哲
,
星川 康
,
遠藤 千顕
,
岡田 克典
,
鈴木 聡
,
近藤 丘
1東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
キーワード:
医学用イラストレーション
,
気管支鏡法
,
気管支疾患
,
胸部外傷
,
破裂
,
気管気管支形成術
,
緊急手術
,
胸部CT
Keyword:
Bronchial Diseases
,
Bronchoscopy
,
Medical Illustration
,
Rupture
,
Thoracic Injuries
pp.990-995
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007020965
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1980年1月から2005年12月に経験した胸部・気道損傷により緊急手術を施行した11例を対象に、臨床的検討を行った。症例は男性10例、女性1例で受傷機転は鈍的外傷9例、鋭的外傷2例で、術前臨床診断は7例が多発外傷で、そのうち胸郭損傷は肋骨骨折5例、鎖骨骨折1例、胸骨骨折1例、肺及び気道損傷は血胸5例、気胸6例、肺挫創5例、縦隔気腫3例であった。胸部以外の臓器損傷は2例で認め、うち1例は骨盤骨折、脾臓損傷も伴った3臓器以上の多発外傷であった。緊急手術への移行理由は、急速な呼吸状態の悪化8例、大量出血3例であった。実際の手術所見では、損傷部位は気管・気管支損傷3例、多発肋骨骨折6例、胸部骨折1例、鎖骨骨折1例、肺実質損傷6例、血管損傷3例であった。損傷部位の修復術が大半であったが、3例で気管・気管支形成術を施行し、1例では肺葉切除術を施行した。術後合併症は術後無気肺、気道狭搾、肋骨周囲膿瘍が各1例あった。重篤な後遺症はなく、全例が軽快退院となった。最近経験した17歳の女性例を提示したが、救命センターから受傷後30時間で搬送され、その4時間後に緊急開胸手術を施行し、左主気管支再建術を含む治療にて一過性の無気肺を認めたが、経過は良好であった。
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