発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009114899
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80歳男。慢性閉塞性肺疾患にて通院中、スクリーニング目的の胸部単純CTで心尖部の3cm大の腫瘤と右肺の腫瘍を指摘された。心胸郭比は49%、心電図は洞調律で、心エコーで左室に明らかな収縮異常はなく、右室心尖部と細い交通をもった憩室を認めた。造影CTでは心尖部の憩室内部は心内腔と同程度に造影され、MRIで憩室の内腔は右心室と連続性が認められた。右室造影では心尖部と細い交通をもつ径27×27×18mmの憩室を認め、壁運動消失であった。線維性右室憩室と診断し、破裂の危険があるため手術適応とした。右肺腫瘍については喀痰細胞診IIIbであり、PET-CTで肺癌のcT4N3M0、臨床病期IIIB期の診断であったため、同時手術は行わず、術後化学療法を行う方針とした。手術を施行したところ、右室鋭縁に心外膜に覆われた憩室を認めた。心拍動下冠状動脈バイパス術の手技を用いて視野を展開し、憩室を電気メスで剥離し、基部を切除した。術中エコーで認めた右室との細い交通は縫合閉鎖した。病理組織所見は、摘出標本の内壁は内皮様の扁平な細胞により被覆され、内弾性板や断片状不規則な平滑筋を認めたが、心筋細胞はみられなかった。術後経過は良好で、術後12日に退院となった。
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