CABG 2009年
虚血性心疾患の治療戦略 高齢者(80歳以上)に対するCABGの治療戦略 グラフト選択を中心に
馬場 寛
1
,
小川 真司
,
深谷 俊介
,
北村 英樹
,
青木 雅一
,
米田 正始
,
大川 育秀
1豊橋ハートセンター 心臓血管外科
キーワード:
人工心肺
,
冠状動脈バイパス術
,
心筋虚血
,
生存分析
,
選択的手術
,
治療成績
,
80歳以上高齢者
,
血管移植
Keyword:
Aged, 80 and over
,
Coronary Artery Bypass
,
Heart-Lung Machine
,
Survival Analysis
,
Treatment Outcome
,
Myocardial Ischemia
,
Elective Surgical Procedures
,
Vascular Grafting
pp.14-18
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009071778
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待機的初回単独冠状動脈バイパス術(CABG)施行の80歳以上症例54例(男32例・女22例:A群)の成績を、80歳未満のCABG症例748例(男561例・女187例:B群)と比較した。A群は男性比、糖尿病有病率が低く、また冠状動脈吻合枝数、完全血行再建率、動脈グラフトのみによる血行再建が少なかった。心拍動下CABGはA群92.6%、B群65.9%、院内死亡率はそれぞれ3.7%、0.7%であった。A群の院内死亡は2例で、術後出血性ショックで低心拍出量症候群となった1例と、腸管虚血・腎不全発症の1例であった。術後脳梗塞は2例に認めた。遠隔期成績(追跡平均43.3ヵ月)は、累積生存率3年87.8%、5年69.0%、7年42.1%で、死亡は心臓死4例、他病死11例であった。心イベント回避率は3年85.8%、5年81.7%、7年65.0%、心臓死回避率は順に91.8%、91.8%、80.4%であった。術前因子、完全血行再建、人工心肺使用、完全動脈グラフトによる血行再建、両側内胸動脈使用の有無で、心イベント回避率に有意差はなかった。心イベント発生の有意なリスク因子は、右冠状動脈に動脈グラフトを使用することであった。
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