CABG 2009年
虚血性心疾患の治療戦略 On-pump CABGは過去の遺物か
小熊 文昭
1
,
菅原 正明
,
平原 浩幸
1長岡赤十字病院 心臓血管外科
キーワード:
人工心肺
,
冠状動脈バイパス術
,
心筋虚血
,
治療成績
,
緊急手術
,
非体外循環下冠状動脈バイパス術
Keyword:
Coronary Artery Bypass
,
Heart-Lung Machine
,
Treatment Outcome
,
Myocardial Ischemia
,
Coronary Artery Bypass, Off-Pump
pp.9-13
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009071777
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虚血性心疾患に対する単独冠状動脈バイパス術(CABG)施行の221例をon-pump(ONCABG)92例と心拍動下(OPCAB)129例に分け、臨床成績等を比較した。患者背景は、適応原則を反映してONCABGはOPCABに比較して低年齢で、病変枝数、総吻合数、動脈グラフト吻合は有意に多く、手術時間も長かった。手術死亡は、いずれの群も経皮的冠状動脈形成不成功後の緊急手術例で多く、その他はONCABG群ではコンバートした1例が心房細動のため、OPCAB群では血液透析例が感染と脳梗塞で各1例死亡した。周術期心筋梗塞などの重大な手術合併症の頻度に両群で有意差はなかったが、ONCABG群では術後の止血術が多く、OPCAB群では無輸血手術率、手術当日抜管率が有意に高く、また術後のMB-CPKピーク値が有意に低値であった。吻合数でみると、3吻合以下の132例は88%がOPCABで、4吻合以上の89例は85%がONCABであったが、吻合数による成績の差異はなかった。またグラフト種類別の開存率にも有意差はなかったが、使用したいずれのグラフトでもONCABG群で開存率が高かった。
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