発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008256271
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76歳女。37年前に左乳癌で乳房拡大切除、腋窩リンパ節郭清、放射線照射を施行されていた。今回、労作時胸部圧迫感が出現し、肺炎の診断で入院した際、大動脈弁狭窄症を指摘された。肺炎治癒後に再入院し、経胸壁心臓超音波で大動脈弁狭窄症(severe)、大動脈弁閉鎖不全症(mild)、僧帽弁閉鎖不全症(mild-moderate)を認めた。胸部CTでは放射線照射により胸骨は溶解性変化を来たし、一部腐骨化して空洞性変化を認めた。胸骨正中切開によるアプローチは術後の縦隔洞炎発症の危険性が高いと判断し、右開胸による大動脈弁置換術を選択した。右前側方開胸、第4肋間開胸を行い、心膜の癒着を慎重に剥離して大動脈をテーピングした。人工心肺を確立し、大動脈を遮断して上行大動脈を切開後、左右の冠状動脈から順行性に心筋保護液を注入し心停止を得た。石灰化した大動脈弁を切除し、21mmのウシ心膜弁を用いて大動脈弁置換術を施行した。術後皮膚感染などはなく、36日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008