発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236406
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68歳男。42歳時に脳腫瘍摘出術を受けていた。検診で左下肺野の異常陰影を指摘され、CTでは左S8に比較的辺縁明瞭な30×60mmの腫瘤影を、左S6に10mm大、右S6に16mm大の結節影を認めた。脳MRIでは術後変化として左頭頂部での欠損を認めたが、明らかな脳内転移、局所再発所見はなかった。原発性肺癌あるいは転移性肺腫瘍などを疑い、確定診断のため胸腔鏡補助下左肺部分切除術を施行した。切除標本で、左S9・10の胸膜直下に54×32×20mmの腫瘍を、S6には9×10mmの白色充実性腫瘍を認めた。組織学的には両腫瘍とも小型円形核を有する多角形~短紡錘形の腫瘍細胞が渦紋状配列に増殖し、微小石灰化巣を多数認め、髄膜腫と診断された。前回脳腫瘍手術標本は保存されておらず、詳細不明であったが、臨床経過より脳原発髄膜腫多発肺転移と診断した。術後経過は良好で、6ヵ月経過し右肺結節の増大は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008