発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148980
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78歳男。肺癌で左下葉管状切除+縦隔リンパ節郭清術を施行後、3日目に突然の呼吸困難を訴え、酸素マスク10l/分の投与でSpO2 85%まで低下を認めた。胸部X線所見より肺血栓塞栓症・間質性肺炎が疑われた。また茶褐色膿性痰がみられたことから、細菌性肺炎も鑑別に挙げられた。造影胸部マルチスライスヘリカルCTでは両肺野に区域性肺胞性陰影を認めた。炎症所見の悪化があり、尿中肺炎球菌抗原陽性であった。重症肺炎と判断し、ペニシリン耐性肺炎球菌肺炎(PRSP)の場合に備えて、人工呼吸管理下にカルバペネム系抗生物質を通常の2倍量と好中球エラスターゼ選択的阻害剤、hydrocortisone、ヒト免疫グロブリン投与開始した。術後25日目には画像上改善傾向を認めたが、術後26日目に急激な播種性血管内凝固症候群のためショックとなり、翌日死亡した。後日報告された血液培養では肺炎桿菌が検出された。検索の範囲において、呼吸器手術後肺炎としてPRSPは報告はなく、本例が初めての症例であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008