発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010338490
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57歳女性。患者は52歳より糖尿病で内服治療中であった。今回、右踵部の皮膚潰瘍で近医を受診、抗生物質投与を受けるも潰瘍は増悪し、骨髄炎の疑いで、著者らの施設へ紹介となった。受診時、右踵部に3×3cmの踵骨に達する瘻孔と径10cm大のポケット形成が認められ、瘻孔部には壊死組織が付着し、汚臭と膿排出を伴っていた。また、炎症反応と血糖コントロール不良がみられ、創部浸出液培養ではグラム陰性桿菌Proteus mirabilisが検出された。一方、X線では踵骨アキレス腱付着部の裂離骨折、踵骨骨皮質の辺縁不整像がみられ、MRIでは踵骨底側からアキレス腱遠位部にT1強調で低信号、T2強調で高信号が認められた。以上より、本症例は右踵骨慢性骨髄炎と診断され、イミペネム・シラスタチン全身投与とデブリドマンを行ったところ、炎症反応低下を認め、その後、病巣郭清と抗生物質含有リン酸カルシウム骨ペーストの充填術が行われた。その結果、術後10週で創の完全治癒を認め、目下、手術から1年3ヵ月経過で独歩可能であり、再発は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010