特集 一人の診察であわてないために!病状と検査結果から導き出す確定診断のコツ
救急外来(急性大動脈症候群) rule-in/out 急性大動脈症候群の診断のプロセス Dダイマーや造影CTの適切な使い方
坂井 克彰
1
,
大野 洋平
1東海大学 内科学系循環器内科学
キーワード:
潰瘍
,
病院救急医療サービス
,
血腫
,
大動脈疾患
,
大動脈瘤
,
X線CT
,
動脈硬化症-アテローム性
,
動脈瘤-解離性
,
Fibrin Fragment D
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Aortic Diseases
,
Aneurysm, Dissecting
,
Emergency Service, Hospital
,
Hematoma
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Ulcer
,
Atherosclerosis
,
Fibrin Fragment D
pp.103-106
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018029949
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症例
75歳,男性。 畑仕事中に突然意識を失い救急車で搬送された。救急隊到着時から意識は清明であった。 発症時の意識消失のためか胸背部痛の訴えはほとんどなく,帰宅を強固に主張していたが採 血結果でDダイマー83μg/mLと異常高値,胸部X線で上縦隔の拡大を認め,造影CTを施行 したところ偽腔開存型のStanford A型の大動脈解離の診断となった(図1a)。腕頭動脈から 総頸動脈にかけても解離を認め,意識消失の原因は大動脈解離による一過性の脳虚血症状 と考えられた(図1b)。大動脈解離は非典型症状が多い。裂けるような強い痛みは,感度7~ 62%であり大動脈解離の主訴は95%が疼痛,85%は急激発症であるが,意識消失後や脳梗 塞が合併している場合など痛みがない患者が4.5~15%存在することを忘れてはいけない。 この症例は,症状が非典型的であったがDダイマー高値で大動脈解離を疑い,造影CTで確定 診断に至ることが可能であった。
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