発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007150028
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
冠血行再建術にelectrical storm(ES)を呈し、心室性不整脈対策に難渋した5症例を経験した。症例1(55歳女)。ESに対し約40日間ACLSに準じた薬物治療を行うも効果なく受診され、緊急手術で冠状動脈バイパス術(CABG)と僧帽弁形成術(MVP)を行った。術後再びESに陥り植え込み型除細動器(ICD)の植え込み術を行うもESとなり、大動脈内バルーンパンピング(IABP)を要し、マッピングを施行しカテーテル焼灼術を行った。症例2(67歳男)。手術直前まで心室細動(VT)を頻回繰り返し、MRSAによる敗血症を合併していた。CABG、左室形成術、人工弁輪による僧帽弁輪形成術(MAP)、左室心筋への冷凍凝固術(cryoablation)を行った。症例3(67歳男)。心拍動下CABG(OPCAB)を行うが冠状動脈吻合中にVTが出現し、右冠状動脈の再建ができず2枝OPCABに終わり、術後2日に再びESに陥り不整脈死した。症例4(71歳男)。OPCAB術後7ヵ月にICD感染のため抜去し再度新たなICDを植え込み、術後2年3ヵ月経過良好である。症例5(52歳女)。OPCABを行い3吻合目の回旋枝(LCx)吻合中にVTとなりIABPと人工心肺による循環補助(pump conversion)後に心拍動下で5枝冠状動脈吻合を完遂し、術後1年5ヵ月経過良好である。症例4は喘息のためamiodarone hydrochlorideのみの内服だが、他の症例はさらにβ遮断薬(carvedilol)も内服中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007