発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007110136
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症例1:67歳女。統合失調症の内服治療中に検診で胸部X線像上異常影を指摘された。精査の結果、右下葉S9原発性肺癌(cT1N0M0、IA期)と診断され、1ヵ月後に後側方開胸右下葉切除・右肺門縦隔リンパ節郭清を施行した。術後血栓予防のため早期離床、飲水を促すも拒否し、術後2日の歩行で呼吸苦が出現し肺血栓塞栓症と診断した。酸素とheparin soldium投与で症状は改善し酸素不要となりperformance state(PS)0で退院した。症例2:42歳男。統合失調症、心房細動と高血圧で内腹治療中に陰嚢腫瘤を自覚し、右精巣腫瘍と両側多発肺転移の診断で高位精巣摘除術と術後化学療法を行い、肺転移巣は著明に縮小して切除可能となった。初回手術後約11ヵ月に右肺5病変、左肺1病変と手術中検索の8病変をすべて切除した。深部静脈血栓予防にフロートロンDVTを用いたがドレーンより淡血性の排液がみられたため、heparin sodium投与は行わなかった。術後6日に呼吸痛と胸痛を訴え死亡した。解剖所見より肺血栓塞栓症、肺梗塞と診断した。
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