発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005130150
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64歳女.胸部異常陰影を主訴とした.胸部単純X線およびCTにて舌区末梢に約10mm大の淡い結節影を認め,胸腔鏡下肺部分切除を行ったところ肺腺癌であった.翌日,歩行時に胸痛・呼吸困難感が出現し,Spo2は84%と低下しており,胸部CTにて両側肺動脈内に血栓を認めた.肺血栓塞栓症と診断し,heparin sodium,urokinaseの静注を開始した.静脈造影で両下肢静脈内に血栓を認めたため,腎静脈下の下大静脈内に血栓捕捉フィルターを留置した.肺血流シンチでは右中肺野外側に欠損像を認めた.Urokinaseを増量し,発症3日目よりwarfarin potassiumの内服を開始,PT値が30%台となった時点でheparin sodium静注は終了した.肺血栓塞栓発症11日目のCTでは,肺動脈内の血栓は溶解していた.Spo2は98%と改善し,退院となった.術後肺血栓塞栓症を発症した原因としては,基礎疾患に下垂体機能低下症があり,hydrocortisoneを常用薬の一つとして内服していたことや,使用した下肢マッサージ器の効果不十分等が考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005