発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007094858
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胸腔鏡下肺切除術を行った原発性肺癌および転移性肺腫瘍56例を対象に、術操作の違いにより、A群:肺実質切離操作なし17例、B群:超音波凝固切開装置(HS)で切離20例、C群:自動縫合器で切離19例に分け、手術成績を比較した。その結果、1)手術時間はA群が184.1分、B群が224.5分、C群が214.9分と、A-B群間で有意差がみられたが、術中出血量・術後2日目の血中CPK値・胸腔ドレーン留置日数・5日以上の肺瘻遷延症例数・術後在院日数はいずれも3群間で有意差はみられなかった。また、全例で重篤な術後合併症の発生もみられなかった。2)HSで分離された残存肺は肉眼的に良好な形状と十分な拡張が得られ、摘出肺は病理組織学的にHSによる熱変性が切離面からごく浅い層にとどまっていることが確認された。以上、これらのことからも、HSは高度の不全分葉や区域切除における肺実質切離に有効と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2006