発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007094857
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無輸血体外循環法にて根治術を行った心房中隔欠損(ASD)小児例22例を対象に、体外循環中の血液凝固線溶能について検討した。手術時年齢は6.4±3.2歳で、体外循環開始前にheparin sodium 3mg/kgを全身投与し、終了後はprotamine sulfateを同量使用した。その結果、体外循環開始10分後の時点ではTAT、PIC、PAI-1で示される凝固線溶能異常は認めなかった。しかし、TAT値は体外循環時間と体外循環終了直前、ICU入室時との間に有意な正の相関が認められた。また、PIC値と体外循環時間、ICU入室時との間にも正の相関関係が確認された。PAI-1は体外循環中の上昇例はなかったが、ICU入室時に5例で異常高値を認め、うち2例は術翌日まで異常高値が持続した。以上より、体外循環時間の延長とともにTATが延長し、また術後のPAI-1の上昇から、比較的短時間のASD例であっても凝固優位のDICが惹起されている可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2006