発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006128219
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2004年9月から2005年9月に内視鏡下橈骨動脈採取を行ったon-pump冠状動脈バイパス術症例33例(平均68±10歳,男24例,女9例)を対象に,その初期成績を報告した.併存疾患として12例に糖尿病を認めた.バイパス本数は3.6±0.9本であった.同時手術として大動脈弁置換術を3例,僧帽弁置換術を2例,左室形成術を2例に施行した.全例に術前にAllenテスト及びドプラエコーにて全腕の血流及び橈骨動脈の性状を評価した.採取時の平均虚血時間は37±13分であり,初期の3例のみは50分以上となった.症例を重ねる毎に虚血時間の短縮がみられ,最短は20分であった.術中橈骨動脈グラフト流量は27±11ml/分と良好であった.術後創部には皮下血腫,前腕腫脹などが数例でみられたが,退院時に問題となった症例はなかった.術前から皮膚が脆弱であった症例では橈側の創治癒遷延を認めた.美容上の利点が極めて大きい橈骨動脈採取の手技は短期間で熟達可能であり,今後のわが国での普及が予想される
©Nankodo Co., Ltd., 2006