発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004219877
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61歳男.人間ドックにて胸部X線像で右肺門部の腫脹を指摘され,CTで前縦隔に腫瘤を指摘され入院となった.胸部X線像上,正面および側面像では異常陰影は描出されなかった.胸部CTで前縦隔に40mm大の境界明瞭な腫瘤を認め,左側に小結節を認めた.術前生検は施行せず,局在部位および画像所見より胸腺腫と診断し,手術を施行した.胸骨正中切開にて胸腺・胸腺腫切除を施行した.腫瘍は心膜・右壁側胸膜と強固に癒着しており,心膜および胸膜を合併切除した.手術所見より浸潤型胸腺腫と診断し,術後放射線治療の追加を考慮した.腫瘍の大きさは40×30mmで,割面は黄色調であった.一部扁平上皮癌様分化を示す癌細胞の増殖を認めたが,未分化癌を思わせる分化部分が多くを占め,胸腺未分化癌と診断された.病期分類はpT3N0M0,stage IIIであった.癌組織の局所遺残を考慮し,縦隔および鎖骨上への照射(50Gy)を追加し,同時にcisplatin,vinorelbine ditartrate,mitomycin Cを併用した化学療法を2クール施行し,退院となった.術後2年を経過し再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004