発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005120230
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肺癌切除例753例のうち,術後急性期に間質性肺炎(IP)を発症した12例(1.6%)の術前後を検討した.術前,9例(75%)に限局性の通常型IP(UIP)所見を認めた.IP発症全例にステロイドパルス療法を行ったが,8例(67%)が死亡した.477例の術前CTを再読したところ51例(10.7%)にUIP所見を認め,うち10例(2.1%)は特発性IP(IIP)であったと考えられた.UIP陽性者51例からの術後IP発症率は17.6%(9例)であり,UIP陰性者426例からの発症率0.7%(3例)に比べ,有意に高値であった.血清KL-6値は,肺切除術翌日には低下傾向を示したが,腫瘍壊死因子-α(TNF-α),インターロイキン-1β,トロンボモジュリン,細胞間接接着分子-1(sICAM-1)に変動はなかった.しかし,TNF-α,sICAM-1は,術後IP例で増加傾向にあった.術後IPのほとんどは限局性のUIPを持つIIPからの急性増悪であると考えられ,手術を契機にIPの急性増悪が起こることが示唆された.なお,術後IPを有効に検出するマーカーの存在はみられなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2005