発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051664
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胸膜肺摘除術を施行した肺結核症,慢性結核性膿胸の3症例をもとに炎症疾患に対する本術式のポイントを解説した.症例1(67歳男).石灰化の強い慢性膿胸腔の反復感染による喀血を繰り返したため施術し,術後合併症として胸骨感染を認めた.症例2(51歳男).有瘻性膿胸に対する開窓術施行後に二期的な胸郭形成術を予定したが,左肺の拡張不良,荒蕪肺化が菌陰性化を妨げていると判断して施術した.術後,気管支断端瘻,MRSA膿胸を認めたが,広背筋弁による気管支断端被覆にて保存的に改善した.症例3(50歳男).排菌コントロール不良の多剤耐性結核であり,左肺の荒蕪肺化にて施術した.平均手術時間は5時間56分,平均出血量は1,417mlであり,全例生存中である.手術適応となる炎症性疾患は経過の長い症例が多く消耗・衰弱した症例が大半であるが,栄養状態や全身状態の改善を図り,細菌学的にも安定した条件の良い時期に外科療法を行うことが成績向上に繋がると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004