発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004219878
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
40歳男.健診で上縦隔に異常陰影を指摘された.胸部CTで気管の背側に約5cm大の腫瘤陰影を認めた.後縦隔腫瘍を疑われ入院となった.胸部X線およびCT所見より気管支嚢胞もしくは神経原性腫瘍の診断で胸腔鏡下右後縦隔腫瘍摘出術を施行した.分離肺換気のもと左側臥位とし,右の第4肋間の前腋窩線に10mmのカメラ用ポートを,第4肋間中腋窩線および第6肋間の前腋窩線にそれぞれ7mm,11.5mmの鉗子用ポートを設置した.腫瘤直上の縦隔胸膜を気管に平行に切開し,奇静脈弓をendostaplerを用いて切離した.腫瘤は周囲組織に浸潤なく,鈍的に食道筋線維から剥離し核出された.腫瘍核出後の食道筋層と縦隔胸膜を別々に4-0 polydioxanoneで縫合し,20Frの胸腔ドレーンを留置して手術を終了した.病理組織所見より食道平滑筋腫と診断した.術後第4病日に施行した上部消化管内視鏡所見では,門歯列より31cmの食道前壁側にひだのひきつれを認めたが,粘膜面の損傷および食道の狭窄はなく,同日退院となった.退院後,上部消化管内視鏡エコーで腫瘍の残存を認めたが,術後1年腫瘍の増大は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004