発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004199705
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83歳女.呼吸困難,起坐呼吸を主訴とした.1987年,僧帽弁置換術と三尖弁輪縫縮術を受けたが,1998年に僧帽弁閉鎖不全症(MR),2001年10月にはMRと三尖弁閉鎖不全症(TR)による心不全と診断された.2002年3月入院時NYHAIII度,胸部X線・心電図所見では心胸郭比68%,心房細動がみられ,心エコー・心臓カテーテル検査所見では駆出率84%,IV度のMR,TRと肺高血圧症を認めた.また頸動脈DSAにて左内頸動脈の閉塞を,脳血流シンチacetazolamide負荷にて左大脳半球の著明な血流低下がみられた.手術は体外循環中に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を間欠的に駆動させ,灌流量2.6l/分/m2,頭部と上部の灌流を拍動流として最高血圧90~100mmHgを維持し,僧帽弁置換術,左房縫縮術ならびに三尖弁輪縫縮術を施行した.術後は脳合併症を惹起することなく良好に経過し,心胸郭比および駆出率の低下,左室拡大および肺高血圧症の改善を認めた
©Nankodo Co., Ltd., 2004