特集 アルツハイマー病の根本治療に向けた研究最前線
代謝恒常性の破綻から見たアルツハイマー病の病態機序 糖尿病とインスリンシグナル
池内 健
1
,
徳武 孝允
,
西澤 正豊
1新潟大学研究推進機構超域学術院
キーワード:
Alzheimer病
,
Amyloid Beta Peptides
,
Insulin
,
翻訳後タンパク質プロセシング
,
シグナルトランスダクション
,
血液脳関門
,
Insulin Receptor
,
中枢神経系
,
糖尿病
,
ホメオスタシス
,
リン酸化
,
Tau Proteins
,
剖検
Keyword:
Alzheimer Disease
,
Blood-Brain Barrier
,
Central Nervous System
,
Diabetes Mellitus
,
Insulin
,
Homeostasis
,
Protein Processing, Post-Translational
,
Phosphorylation
,
Receptor, Insulin
,
Signal Transduction
,
Amyloid beta-Peptides
,
tau Proteins
pp.1129-1134
発行日 2012年9月22日
Published Date 2012/9/22
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血液脳関門が存在するために中枢神経組織は,全身臓器の変調の影響を受けにくい臓器と考えられてきた.しかしながら数多くの疫学研究は,全身臓器の恒常性の破綻が予想以上にアルツハイマー病(AD)の発症に関与しているという知見をもたらした.なかでも糖尿病が代謝恒常性の破綻を介してADの分子病態に関与するという知見が蓄積されている.過剰な細胞外Aβによりインスリン受容体を介したインスリンシグナル伝達障害が生じ,AD患者脳ではインスリンシグナル関連分子の発現が低下していることが明らかにされている.脳内インスリンシグナルを標的とした新たなADの治療探索が始まっている.
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