特集 活性イオウ分子種の生理機能に迫る チオールバイオロジーの新たなステージ
せるてく・あらかると
アルツハイマー病におけるインスリン産生低下とミトコンドリア機能不全
中別府 雄作
1
1九州大学生体防御研究所 個体機能制御学部門脳機能制御学分野
キーワード:
Alzheimer病
,
Amyloid Beta Peptides
,
Insulin
,
エネルギー代謝
,
海馬
,
危険因子
,
糖尿病
,
ニューロン
,
ミトコンドリア
,
Tau Proteins
,
遺伝子発現プロファイリング
,
ミトコンドリア病
Keyword:
Alzheimer Disease
,
Diabetes Mellitus
,
Energy Metabolism
,
Insulin
,
Hippocampus
,
Neurons
,
Mitochondria
,
Risk Factors
,
Amyloid beta-Peptides
,
tau Proteins
,
Gene Expression Profiling
,
Mitochondrial Diseases
pp.389-391
発行日 2015年3月22日
Published Date 2015/3/22
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脳・神経組織は,その機能,すなわち「神経興奮と神経伝導に関連したイオンの能動輸送」の維持に膨大なエネルギーを必要とする.成人の脳の重さは体重の約2%だが,脳機能を維持するには,安静時に全身で消費されるエネルギーの20%程度が必要であることから,脳機能を維持するうえでエネルギー供給がいかに重要かは一目瞭然である.最近の研究から,インスリン抵抗性や糖尿病が,アルツハイマー病(AD)を含む認知症の発症や進行の危険因子となることが指摘されている.実際,厚生労働省の「平成24年国民の健康・栄養調査の結果」では,糖尿病予備軍を含む糖尿病患者の割合が,国民の2割に達することが報告され,これと並行して認知症の患者数も急増している.厚生労働省は2015年1月に,全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した.しかし,なぜ糖尿病がADの危険因子となるのかはよくわかっていなかった.
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