特集 進展経路からアプローチする頭頸部癌の画像診断
5. 喉頭癌に関連する進展経路 5.5 輪状甲状膜・靱帯・関節を介した喉頭外進展
冨田 隼人
1
,
久野 博文
2
1聖マリアンナ医科大学放射線医学講座
2国立がん研究センター東病院放射線診断科
キーワード:
輪状甲状膜
,
靱帯
,
関節
,
喉頭外進展
Keyword:
輪状甲状膜
,
靱帯
,
関節
,
喉頭外進展
pp.868-869
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001215
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●前方・側方の喉頭外頸部軟部組織へ進展する腫瘍はT4aに分類される.●cricoid areaに進展した腫瘍は輪状甲状膜を介した喉頭外進展を来しやすく,治療後再発のリスクとなる.●喉頭前リンパ節への転移のリスクとなる.輪状甲状膜は弾性線維でできた組織であり,声門下腫瘍や声門下進展を示す腫瘍に対して,輪状甲状膜を貫通する神経血管束を介した喉頭外頸部軟部組織への進展経路となりやすい.喉頭外頸部軟部組織進展を認めた場合,T4aに分類され,舌骨下筋または皮下を含んだ喉頭全摘出術が第一選択となる.また,近接する甲状腺への直接浸潤やリンパ路を介した進展経路となることより,甲状腺片葉摘出または甲状腺全摘出術が必要となる場合がある.この進展に関連する神経血管束は,cricoid area内を走行する上甲状腺動脈の輪状甲状枝と,輪状甲状靱帯を貫通する同枝の上行枝である.したがって,cricoid areaに進展した声門下進展は,治療後の間質再発に注意する必要がある.輪状甲状靱帯や輪状甲状膜のリンパ路を介した進展は,喉頭前リンパ節や気管傍リンパ節転移を来す経路としても重要である.
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