特集 喉頭腫瘍
喉頭癌の発育と進展
竹田 千里
1
1自衞隊中央病院耳鼻咽喉科
pp.322-329
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201997
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序
喉頭のどの部位に発生した癌が如何なる拡りかたを示すか,については従来個々の症例について若干の観察がなされていた。しかし此の問題について綜合的な研究が試みられ始めたのは比較的新しいことである。すなわち著者は1949,1月,日耳鼻東京地方会例会において臨床および病理学の立場から61例についての観察を発表し,Baclesse, F.(1949)は同様のことを放射線治療医の立場から発表している。最近Ogura, J. H.(1955)は詳細な研究を発表したが,彼は単に原発巣の拡りの様式のみならず,之とリンパ節転移との関係についても貴重な知見を得ている。
この論文においては主として上記の研究成果に,著者のその後の研究知見を加え,喉頭癌の拡りの模様を臨床所見と関聯させつゝ論じたい。記載のもとをなす著者の検討例は総数280例(東大耳鼻咽喉科,癌研放射線科,群大耳鼻咽喉科,その他における症例)で,そのうち病理学的に検査したものは34例である。喉頭癌の定義をどう決めるかについては私なりの見解もあるが,この論文では最も広い意味に解釈しておいた。
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