特集 自然免疫活性化プラットホームとなるオルガネラとそのシグナル伝達
Overview
三宅 健介
1
,
谷村 奈津子
2
1東京大学医科学研究所 感染遺伝学分野 教授
2東京大学医科学研究所 感染遺伝学分野 日本学術振興会RPD特別研究員
pp.554-556
発行日 2015年5月22日
Published Date 2015/5/22
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自然免疫の受容体群はショウジョウバエTollの発見を端緒に大きく5つのファミリー,TLRs(Toll like receptors),CLRs(C-type lectin receptors),NLRs(NOD likereceptors),RLRs(RIG-I like receptors),ALRs(AIM-2like receptors)がセンサーとして同定されている.TLRs とCLRsは膜貫通領域を持ち,細胞外領域に認識部位であるロイシンリッチリピート(LRR)あるいは糖鎖結合領域(CDR)があることから,形質膜の外あるいは管腔側のリガンドを認識し,活性化される.他方,NLRsやRLRs,ALRsは膜貫通領域を持たず,細胞質内に局在するリガンドを認識し活性化される1) .これらすべての受容体はアダプター分子を介してそれぞれのシグナル伝達経路を活性化し,NF-κBやIRF,NFATなどといった転写因子の活性化を介した炎症性サイトカインの産生あるいはインターフェロン(IFN)産生誘導などの応答を引き起こす.また,インフラマソームと呼ばれる,タンパク質の限定分解を介する炎症誘導機構が,RLRs,NLRsやALRsの下流で活性化されることが知られてきている.これらの受容体はそのリガンドやシグナル伝達経路の解析が先行しているが,近年は分子の動態観察などが進み,「活性化される場」の重要性が認識されつつある.
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