特集 ストレス応答性転写因子:その新機能とがん、免疫・代謝・変性疾患との関係
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本橋 ほづみ
1
1東北大学加齢医学研究所 遺伝子発現制御分野 教授
pp.702-705
発行日 2014年6月22日
Published Date 2014/6/22
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私たちは日常生活において,様々な環境の変化に曝されて生活している.生体の恒常性を攪乱する外因性ストレスとしては,温度変化,明暗変化,紫外線や放射線への曝露などの物理的要因,酸素濃度の変化,環境中や食物中の化学物質の摂取などの化学的要因,そして,細菌やウイルス,寄生虫などの感染といった生物学的要因というように多岐にわたる.これらのストレスに対して,生体は恒常性を維持するための応答機構を発動させて,生体内環境の変化をある一定の範囲内にとどめている.生体のストレス応答機構は,外因性ストレスに加えて,生体内で発生する酸化ストレスや炎症性サイトカインなどに対する応答も担っており,その破綻は,多くの生活習慣病や慢性疾患の原因と深く関連している.ストレス応答機構の発動は,多くの場合,遺伝子発現プロファイルの変化を伴う.すなわち,ストレスに応じて特異的な転写因子が活性化され,細胞はトランスクリプトームの改変を介してストレスに抗う能力を獲得する.
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