特集 アストロバイオロジーとの遭遇:生命のルーツを探る旅
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山岸 明彦
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1東京薬科大学生命科学部応用生命科学科 極限環境生物学研究室
pp.98-100
発行日 2016年1月22日
Published Date 2016/1/22
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アストロバイオロジーの決まった日本語訳はないが,本稿では宇宙生命科学と訳しておく.これはアメリカ航空宇宙局(NASA)の造語である.NASAはアストロバイオロジーを「宇宙における生命の起源,進化,伝播および未来」と定義している.地球以外で生命は見つかっていないので,生命の直接の研究は地球の生物に限られる.しかし,地球以外にも生命がいる可能性が高まっている.2015年秋,NASAの複数の高官は一世代(30年)位の間に地球外生命が見つかる可能性があると言及した.以前は,フィクションの世界に限られていた地球外生命が,科学の対象となる時代が来ている.宇宙で生命を探査しようとするとき,様々な問題が浮上する.どこで生命を探せばよいか,どのような生命を探すか,どのように探査するかなどである.現在我々は地球生命1つしか知らないため,その研究から地球外生命を推定するほかない.地球生命がどこで,どのように誕生し,進化したかを研究することから生命一般を知る取り組みが必要である.本特集では,地球生命の誕生と進化,初期進化について解説する.ついで,太陽系内での生命探査計画に関して解説したい.
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