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特集 睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心血管障害
Overview
Overview: Sleep Apnea Syndrome and Cardiovascular Disease
百村 伸一
1
Shinichi Momomura
1
1自治医科大学さいたま医療センター循環器科
1Cardiovascular Division, Jichi Medical University Saitama Medical Center
pp.657-661
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101288
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睡眠時無呼吸とは
睡眠時無呼吸とは,睡眠中の呼吸の中断で一晩の睡眠7時間中10秒以上の呼吸停止が30回以上,1時間あたりでは5回以上の呼吸の中断がみられる場合を言う.睡眠時無呼吸,特に後述の閉塞性睡眠時無呼吸を有する患者では,しばしば昼間の眠気,集中力の低下などを伴い,睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる.睡眠時無呼吸患者では,呼吸停止に至らずとも酸素飽和度の3%以上の低下で定義される低呼吸も必ず合併するので,これら無呼吸と低呼吸を併せたエピソードの睡眠中1時間あたりの発生頻度をAHI(apnea-hypopnea index)として睡眠時無呼吸の重症度の指標として用いることが多い.睡眠時無呼吸には,閉塞性(閉塞型と呼ばれる場合もあるが,本稿では閉塞性に統一する)と中枢性がある.閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)は,文字通り気道の閉塞によるもので,無呼吸の間,胸部や腹部の呼吸努力は続いている.主に舌根による上気道の閉塞によるが,顎の構造に起因することもある.特に肥満との結びつきが強く,昼間の眠気や起床時の頭痛,集中力の低下,夜間頻尿,インポテンツなどの症状を伴い,しばしば睡眠時無呼吸症候群を形成する.一方,中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea;CSA)は中枢からの呼吸刺激の消失による.覚醒時にもみられる呼吸の周期的な変動であるCheyne-Stokes呼吸(CSR),と同様の機序で起きることから,これらを一緒にしてCSR-CSAと呼ぶことが多い.
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