特集 ゲノム編集革命:遺伝子改変はZFN・TALEN・CRISPR/Cas三強時代へ
基礎の基礎
山本 卓
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1広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻
pp.506-509
発行日 2013年4月22日
Published Date 2013/4/22
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遺伝子ターゲティングは相同組換え修復(homologydirectedrepair;HDR)を介して標的ゲノム領域に外来の遺伝子を挿入する技術で,酵母やマウスなど限られた生物の遺伝子ノックアウトや遺伝子ノックインに利用されている.相同組換え効率が低い多くの生物では遺伝子ターゲティングを利用することが困難であり,化学物質や放射線,トランスポゾンを突然変異体の作製に利用している.また,遺伝学的な解析の困難な生物においては,モルフォリノアンチセンスオリゴ(MO)やsiRNAを用いた遺伝子ノックダウンによって遺伝子の機能解析を行っている.しかしながら,化学物質や放射線による変異体作製では変異がランダムに誘発されるため,目的の遺伝子に変異が入った個体を選び出すスクリーニングに多大な労力を必要とする.また,MOやsiRNAによる機能阻害は一過的あるいは不完全である場合も多い.これらの状況から,培養細胞から動植物において広く利用可能な標的遺伝子の改変技術の開発が待たれていた.近年,遺伝子のノックアウトやノックインに利用可能な人工の制限酵素(人工ヌクレアーゼ)が開発された.人工ヌクレアーゼを用いることで,これまで遺伝子改変が困難であった培養細胞や動植物においてゲノム編集(標的遺伝子への変異導入や遺伝子ターゲティング)が可能となってきた.本特集では,人工ヌクレアーゼの作製方法から様々な生物での利用例など最近の成果を中心に話題を提供する.
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