特集 明らかになる褐色脂肪組織の機能:今、第三の細胞が目覚める
基礎の基礎
植木 浩二郎
1
1東京大学 大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
キーワード:
褐色脂肪組織
,
細胞分化
,
糖尿病
,
肥満
,
生活習慣病
,
腹腔内脂肪
,
褐色脂肪細胞
,
白色脂肪細胞
,
ミトコンドリア脱共役タンパク質1
Keyword:
Uncoupling Protein 1
,
Adipose Tissue, Brown
,
Cell Differentiation
,
Diabetes Mellitus
,
Obesity
,
Adipocytes, Brown
,
Adipocytes, White
,
Intra-Abdominal Fat
pp.750-753
発行日 2013年6月22日
Published Date 2013/6/22
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脂肪組織は,従来,摂取した余剰エネルギーを中性脂質として貯蔵するきわめて静的な器官として捉えられてきた. ところが,20 年ほど前から白色脂肪組織(whiteadipose tissue:WAT)からは様々な生理活性物質( アディポカイン)が分泌されて,種々の生体反応を調節し,その異常が糖尿病やメタボリックシンドロームなどの疾病の発症にも関与していることが明らかとなってきた.一方で,褐色脂肪組織(brown adipose tissue;BAT)は寒冷曝露時の熱産生・体温維持を担う器官として主に小動物において研究が進められてきた.遺伝子改変マウスなどの成果から肥満や糖尿病の治療法としての可能性も示唆されるようになったが,ヒトをはじめとする大型哺乳動物ではその意義は不明であった.ところが,WATから褐色脂肪細胞様の機能を持つ細胞が誘導されうることが示されたり,またヒトにおいても成人で褐色脂肪細胞様の細胞が存在することが明らかになるなど,BATとその類縁細胞の機能やその制御機構は,現在,代謝領域の最もホットな話題の1 つとなっている.本特集では,褐色脂肪細胞とその類縁細胞研究における我が国のトップランナーに,最新の研究成果を含めて解説をお願いしている.
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