第2特集 ブッダに学ぶ生老病死─臨床と仏教─
臨床と仏教の接点
プライマリ・ケアにみる生老病死
-──仏教は死をどう考えるか
吉水 岳彦
1,2,3
1臨床仏教研究所上席研究員
2淑徳大学兼任講師
3光照院住職
pp.1584-1588
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025120013
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はじめに
昨今,日本の医療現場でも,プライマリ・ケアの実践にあたって,スピリチュアルケアやグリーフケアなどが導入されるようになり,宗教や信仰を背景としたケア,とりわけ仏教的な思想やアプローチも注目されるようになった*1.そうした公的なケアの現場で活動する実践者「臨床仏教師」養成を行う「臨床仏教研究所」が2008年に設立され,2012年には東北大学でも「実践宗教学寄付講座」が開講され,同じく医療現場などでケア活動を行う「臨床宗教師」の養成が開始された.この2種類の宗教的背景をもつケア実践者たちは,医療現場のほかに,さまざまな災害で傷ついた者や困窮の苦しみにあえぐ者,身寄りなく孤独な者のもとに駆けつけ,多様なケア活動を行っている.ここでは,そのような苦の臨床に立つ仏教者が学んでいる,死生観や死についての考え方の一端を紹介する.

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